彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
「もう、言わないで。とにかくないですから、安心してください」
「いろいろってなんだろう?仕事のほかにもあるのか?なんだろうなあ……」
「……最低」
「最低な俺が好きなくせに、最低な秘書さん。さあ、仕事をしようか」
彼はうつむいた私の顎に手をかけてキスを落とした。耳元でささやく。
「菜摘は決して浮気できないね。何しろ鎖が食い込んで遠くには行かれない。菜摘の鎖はそんなに長く伸びないんだよ。残念でした」
「……は?」
「死ぬまで、いや死んでも愛してるから安心しろ。さてやるぞ」
彼はくるりと後ろを向いて自分の席へ戻っていった。私は……朝から顔を真っ赤にしてしばらく立ち尽くしたのだった。
fin.