彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
 
 彼が森川さんと名字を言うときは、ろくなことがないと今までで嫌というほどわかっている。
 
 青くなっていると、にたりと笑っている。

「義姉さんに会っただろ?まさか、この間の話を相談したんじゃないだろうな?」

 いや、ホントにどうしてこうなる?まだ二日しか経ってないのに……。

「だから、その……」

「菜摘は嘘をつけないんだよ。顔見れば大体分かる。最近ろくなこと考えてないだろ。夕べもベッドで上の空。気付いてないとでも?」

「あの、今は仕事の話です。余計なことは言ってる時間がありません」

「……ふーん。余計なことね。そうか、そうくるか」
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