彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
 
「いや、その、言い過ぎた。すまん」
 
「いえ。私なんておっしゃるとおりひとりでは何もできませんので……。忙しいから失礼します」

 バターンとドアを閉めて出てきた。

「あれ?森川さん。すごい顔だよ。喧嘩した?」
 
 なぜ、ここに達也取締役が?びっくりして立ち尽くす。

「どうして、ここに?永峰取締役へ何かご用事でした?」

 彼は近寄ってくると私の耳元に小声で話し出した。

「いや。氷室商事の陽樹専務から内緒で連絡があってね。君のことだよ」

 ニヤリとこちらを見ながら笑う。京子さん、仕事が早い。すぐに小声で返す。
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