彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
「俊樹さんが秘書を振り切ってそっちへ行かないように首根っこ抑えられる人じゃないとダメだからね。海外出張後のスケジューリングに関しては、僕の指示で彼が目いっぱい入れはじめている。どうにも出来ないようにしてあげるんだ」
意地悪な瞳を輝かせて話す。まるで、いたずらっ子の計画を聞いているようだ。それにしても、ここまですでに根回し済みって、この人ホントに、敵に回したくない。
「あの。そんなんで大丈夫なんでしょうか?」
「……そうだね、最初は暴れるかもしれない。きっと相当ね」
「……大丈夫ですか?」
「森川さんは、研修中陽樹さんの奥さんが家を準備してくれるそうだから、そちらへ入ってね。多分独身寮らしいけど」
そうだった。家に帰ったら軟禁されかねない。