彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

研修開始

 私の目の前には陽樹さんが座っていた。

「独身寮はどうだった?」

 そう、私は今日女子寮から氷室商事へ初出社した。俊樹さんは昨日からアジア三カ国に出張。二週間。

「ええ、とてもいいです。帰りたくなくなりそうなぐらい快適です。作られた方が女の子の気持ちを考えて作ってるとしか言いようがありません」

 皆がくつろげるラウンジも共用部にあり、スイーツやカフェの飲み物などが手軽にとれるようになっている。そこに集まって夜ゆっくり話をしている住人を結構見かけた。調度品も女性向けでとても素敵なのだ。

「そうなのか?まあ、女子寮が非常に評判がいいのはそういうことだったのか。俺は男だからわかんないけどね……」

「それで、私はどこの配属になりますか?」

「そうだね、俊樹の管轄内だとすぐにばれる。ちなみに、あいつの子飼いが住んでいる部署は、営業三部。うちはね、営業四部まであるんだ。営業三部と四部は同じフロア。だから、君は四部も行かないほうがいいだろう」
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