彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
ところが俊樹さんは考え方が普通じゃなかった。彼は公私ともに私を独占したいそうだ。何を言っているんだろうというのが最初の感想だった。
しかし、実際に私が次期社長候補の三橋達也業務新部長の秘書に内示が会長から出ても、彼はそれを阻止するべく敢然と行動を起こして、その内示を破棄させた。実質、私を自分の手元から出さなかった。
つまり、恋人を公私ともに自分の側に置き、独占するという考えは冗談ではないのだ。彼のポリシーなのだろう。
* * * *
「ねえ、お願い。だって全然知らない会社なんだから、そこに急に行くっていったって無理がある。先に行かせて下さい」
「絶対ダメだ。心配するな。俺が付いているんだから向こうに行ってから色々勉強してもなにも困らない」
「そんなわけない!聞いてくれないならいいもん。しばらく実家から通うから。こっちには週一しかこないから」
ベッドのうえで、彼の目をのぞき込む。