彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

『菜摘、お前言いつけを守らなかったな』

「あ、あら、俊樹さん。お疲れ様です。今日は会食でしたよね、夕飯は美味しかったですか?今日はタイだからトムヤムクンとか……確か宮廷料理の店……」

『黙れ』

 まずい。怒ってる。まあ、覚悟はしていた。相当あちらのスケジュールはタイトに違いない。

 達也さんが頼んだ会長秘書はすごく厳しいと有名だからだ。俊樹さんも苦労しているだろう。

「あの……。お言葉ですが、そんな怒られるようなことはしていません」

 私もつい言ってしまった。元からオープンに行かせてくれたら何の問題もないことだったのに。馬鹿みたい。
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