彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
「俊樹さんこそ、私に気を取られてアジア歴訪何かやらかさないでくださいね。最後のミツハシでのお仕事になりますし、会長秘書が達也取締役経由で社長と会長に連絡してます。私も報告聞いてますし、そちらの仕事も並行して多少やっています。だから、俊樹さんのことも見てますからね」
『菜摘、達也を巻き込むとはお前は大したもんだ。おかげでこっちは電話の時間をひねり出すのも大変だ。兄貴夫妻が俺を出し抜くことを楽しんでいるんだろう。お前もミツハシと氷室の両方の仕事をやるなんて、まるで俺のようだな』
「……あの、ね」
『俺と一緒に転籍した時にはさぞ完璧な秘書になっているだろう。俺は教えてやるどころか、逆に教えを請う立場になるかもなあ……』
「俊樹さん。最初から私を素直に氷室商事へ研修に出してくれたらよかったんですよ」