彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

『頭ではわかっていても、俺のいないところでお前をあちらにやるのがいやなんだよ。心配するなだと?まだ婚約も内密でそっちへやったら、絶対今いる場所の連中がお前を離したくなくなる。今までずっとそうだったじゃないか。忘れたとは言わせない』

 そんなこともあったかも知れないけど、それは得意分野だったから。

 何もわからないところでそんなことが起きるはずもない。買いかぶりは程々にしてほしい。

 二週間程度で何が出来るのよ。聖徳太子じゃあるまいし。

「そんなわけないでしょ。二週間じゃあ、なにもできないから。とにかくできるだけ氷室商事のことを勉強してあなたの右腕になれるよう努力中です。お互い頑張りましょう」

『お互いって……お前には敵わないな。それに兄貴もたいしたもんだな。俺は兄貴をみくびっていたかもしれない。今回のことはハッキリ言ってお前より兄貴に驚かされた。俺もまだまだだ』
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