彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

「専務。皆さん。本当にありがとうございました。この数日、みなさんが丁寧に教えてくださったお陰で大分氷室商事について、そして営業三部について学ぶことができました」

 すると陽樹専務がウインクした。かっこいいな、もう。

「じゃあ、たっぷり恩返ししてもらおうかな。一ヶ月後が楽しみだ」

「え?」

「先ほどミツハシへ社長の父と最終協議へ行ってきた。君らのことは一ヶ月後転籍させることで決まったよ。君も急いで向こうの仕事を引き継ぎしておいたほうがいい」

 とうとう、転籍が決まったのね。ああ、なんかそう聞くと寂しい。

 業務部のみんなともとうとうお別れになる。梶原副室長が言う。
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