彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
ひどい言い草。確かにそうだけど……。
相模さんが笑いながらゆっくりと立ち上がり、俊樹さんを見た。
「おかえりなさい、俊樹さん。お久しぶりです。心配されることは何もありません。森川さんは実務に明るく、あっという間に吸収されました。きっと氷室へ入られたらここ数日の結果が出ることでしょう」
「そうか、色々ありがとう。いくら兄貴の頼みとはいえ、面倒なことを押し付けてすまなかったな。こっちに戻ったら君には特別に礼をする」
「いえいえ。楽しかったですよ。三部の皆さんは気づいていたのに知らぬふりをしてくれて、彼女に教えておいてほしいことまでリスト化して僕に渡してきました。あの人達も俊樹さんの気持ちを先回りしていました。彼らにも礼をしてあげてください」
うそでしょう……私ってピエロ?本当に馬鹿みたい。