彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

 皆さんに内密とかいっておきながら、結局バレバレで陰から助けられていたということだ。

 私は相模さんに深く頭を下げた。

「相模さん、本当に気を使って頂きいろいろありがとうございました。本当に私って馬鹿ですね……自分勝手でご迷惑おかけしていたのにも気づかないでいたなんて……皆さん知らぬふりをして助けてくださっていたんですね」

「大丈夫ですよ。それも俊樹さんが根回ししたんでしょうから……森川さんのためにね」

 私が彼の顔を見上げると、彼に頭をポンとたたかれた。

「彼女は頑固でね。たまには知らぬふりで彼女の手の上で踊ってやってもいいが、自分が誰の部下なのか忘れてもらっては困るね。菜摘が転籍したら教えたいことをリスト化させてあったのが役に立ったな。少し早めに見せただけのことだ」
< 48 / 101 >

この作品をシェア

pagetop