彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

「俊樹さん、やめてください。言いすぎです。そんな能力ありませんから……」

「まあ、義姉さんに比べると色気はいまいち足らないけどね」

 目の前のふたりは目を見開いて彼を見ている。そして笑い出した。

「あの口の悪い俊樹が帰ってくるんだと今の発言で認識した。俺も楽しみだ。やっと少しは楽になる。期待してるぞ」

「期待してください。()()俊樹がようやく()()俊樹に戻るんだ。氷室陽樹の弟として全力で昇格する兄さんを支えるから安心してくれ」

 兄弟は姉妹となる私たちの目の前でハイタッチを交わした。

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