彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
それに彼はここの御曹司で唯一の独身貴族。狙われて当然だ。
うまくいけば玉の輿だもの。遠くを見ている彼を下からじろりとにらんだ。
「あ、その目は心当たりがありそうですね。ミツハシでも無差別に女性相手にニコニコしていたんでしょ」
私を見て椎木さんが笑った。
「その通りです」
「うるさいな。円満に会社で生活するための通常運転だ。何も悪いことはしていない」
「陰で夢見て泣いている女性達をなんだと思ってるんだろうねえ。俺たちは彼女たちの受け皿じゃないんだからな」
「そういう言い方はやめろ。菜摘が勘違いするだろ」