彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.２】

　部屋に戻ると先に失礼しますと言ったら皆笑っていた。まだいたの？と言われたくらいだった。

　きっと大変だよと相模さんには言われた。俊樹さんは知らぬふりをしながら、いろいろ陰から君のためにしてくれていたようだからねと言う。

　確かにそうなんだろう。さっきのあの様子だと間違いなく私には地獄が待っている。

　エレベーターホールに戻ると彼は私を見つけてゆっくり立ち上がった。

「さてと……帰るぞ」

　黙って後ろをついていく。怖い。

「……」

　外に出た瞬間、彼は突然立ち止まり伸びをした。