彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

 私は彼に手を合わせた。冷たい目で私を見下ろしている。

「……」

 彼は返事をしない。完全無視をしている。何事もなかったかのように覆いかぶさってきた。

「俊樹さん!お願い、明日は忙しいの!明後日からお休みだからそのときにして……ね?」

 首をかしげて柄にもなく甘えてみる。本当に頼みたいときしかやらない必殺わざだ。これで許してくれるはず。何も言わずに彼は続きをはじめようとする。

「あ、だめだってば。ほら、俊樹さんの好きなチンジャオロースーも作っておいたし、お酒も……」

「聞いてなかったのか。やめるわけがない。明後日とかふざけてるのか?これはお仕置きという名の罰だ」

「どうして?だって俊樹さん私のこと結局全部、知っていたでしょ」
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