彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
「菜摘のことは知っていて当たり前だ。あれほど行くなと言ったのにいうことを聞かなかった。菜摘は勝手に行動した。俺が異動してから教える準備をしていたのに……」
私は身体を起こして彼に言う。
「それならそうと先に言ってくれたらいいのに。そうしたら……」
「そうしたら行かなかったのか?そんなわけない。どうせ菜摘は俺が言ったところで安心できないんだ。俺に言われたって自分で納得できないなら行くに決まってる」
私は言い返せなくなった。私の場合、確かにそういうところはある。否定できない。きっと言われていても、自分でやらないと気が済まなかった。
「だって、だって……」