彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
 
「彼の同級生達。いずれ、彼の手足となって働いてくれる人を彼は学生の頃からスカウトしてきて、うちに入社させてるというわけ。戻ってきたら彼らに仕事を教えてもらいながら元の業務に難なく戻るという算段。出るときから、自分のやりたいことを彼らに指示して出向しているから、すでに彼の計画は彼がいなくても子飼いが進めている。あなたのご主人になる人は結構すごい人ですよ」
 
「……それ、本当ですか?」
 
「私が見た感想としては、私の夫は王様タイプ。大臣のことまではよく理解しているけど、その下のことは大臣に任せきり。信頼した大臣しか置かないけどね。あなたのご主人になる人は(しのび)タイプ。目的のために自分を抑えて水面下ですべて仕切る。そして事細かく指図する。仕える相手には忠実。お父様やお兄様に仕えようと決めている。徳川家康と柳生一門みたいな」
 
「なんですそれ?」
 
「だから、他家つまりミツハシへ侵入したりする。忍者でしょ」
 
「そうですね。彼は細かくて把握したがるタイプです。私はおおざっぱです。しかも所詮、フード関係の知識しかありません。育ちも普通ですし、正直彼との結婚自体不安でしかないんです」
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