彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】

彼の成果

 ミツハシフードサービスにふたりで久しぶりに出社した。

 廊下で会長秘書の菱沼さんに会った。すると、目くばせされて隣の打ち合わせコーナーに連れていかれた。

「森川さん」

「菱沼さん。先週は海外出張お疲れさまでした。それに、俊樹さんのこといろいろとありがとうございました」

 菱沼さんは眼鏡のふちを持ち上げて私を見ると、苦笑いを浮かべた。

「いや、俊樹さんはすごいね。彼と一緒にいると、ある意味頭のトレーニングになる。私も長い間会長だけについていたので甘えがあったと反省した。すごく勉強になりました」

「え?」
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