彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
「もちろんです。少なくとも私は移りたいと思ったことはありません。この会社が大好きですし、大きな恩があるので返していきたいんです」
「そうだね。君は有名人だし、いつでも戻ってきてほしい。まあ、彼がいる限り無理かな。達也君も君に秘書をしてもらうのを最近諦めたようだからね」
「達也取締役はすごい方です。初めてお話しした時から、あの方の頭の回転の速さに衝撃を受けました。達也取締役がいずれ社長になられるなら、ミツハシフードサービスは安泰じゃないでしょうか」
「確かにそうだ。彼は特別だよ。うちにいなくてもきっと特別になれるタイプの人。会長の孫でよかったよ」
私たちは廊下から見える打ち合わせコーナーで話をしていたので、丸見えだった。