彼は『溺愛』という鎖に繋いだ彼女を公私ともに囲い込む【episode.2】
コーヒーを飲みながら頬杖付いて京子さんが私を見ている。絵になる人ってこういう人をいうんだろうな。さらさらの黒髪が肩から流れている。
それに比べ、こんな見るからに平民女子代表である私が、本当に氷室家に嫁いで大丈夫なのか……緑ちゃん以外、家族みんなが心配していた。緑ちゃんはなんでかわかんないけど大丈夫しか言わない。ほんとうに根拠がなさすぎる。
「結婚自体も怖いの?きっと、マリッジブルーと転籍の不安が一緒に来たのね。大丈夫よ、言ったでしょ。みんなあなたの味方だから。私はあなたを助けるためにいるから何かあれば今日みたいに遠慮なく相談してくれたらいいのよ」
「ありがとうございます。頼りにしてます、京子さん」
「そう、それでいいの。とにかくやってみて連絡ちょうだい。私も陽樹さんに言って、そちらの会社へ彼から働きかけできないか頼んであげるわ。あと、こっちでの最初の受け入れ先は考えておくように陽樹さんにお願いしておくわね。俊樹さんのことはこっちでなんとかするから」
二人でにっこり笑い、コーヒーのおかわりを飲む。デザートも追加しようかと二人で笑いあった。