元許婚に恋をする。
宗一郎side
宗一郎side
「宗一郎様、このあいす、おいしいです」
「だろう? 私は甘味が好きなのだが、ここのあいすくりーむが一番好きだ」
屋敷を出てかふぇーにやってきた俺と美織さんはここで一番好きなあいすくりーむを食している。
目の前には幸せそうに笑い食べている彼女がいる。本当に彼女と……やっとだ。やっと迎えられたんだと実感する。俺が彼女と出会ったのは彼女が五歳の時だ。俺と彼女は生まれた時から許婚だと決まっていたようなものだった。父上と伯爵当主は学友で子供がそれぞれ男の子か女子のこが生まれたら許婚にしようと約束をしていたそうだ。運良く、公爵家には俺が生まれ伯爵家には美織さんが生まれた。最初は、まぁよくある政略結婚だと思っていた。だけど、五歳になった時初めて彼女を見て胸が苦しくなった。彼女が愛おしくて、将来のお嫁さんだと思ったらにやけてしまったのを思い出す。
本当に、可愛らしかった。今も可愛いのだけど……
「……可愛いな」
「へっ?」
「美織さんは可愛らしい。とても……」
「あの、宗一郎様」
可愛い唇が俺の名前を呼んでくれるなんて……あぁ、幸せだ。
「なんだい? 美織さん」
「ここで聞くべきかわからないんですけど、」
美織さんは、ボツボツと俺を見ながら不安そうに言葉を出す。
「あの、義母の長女である清子様と婚約が決まったと義母から聞いたのですが」
あぁ、それか……
「そんな話もあった。だが、即お断りした」
「……え? そんな、だって私……宗一郎様との婚約が清子様になったって聞いたから」
「俺は、美織様しか受け入れませんと伝えた。そしたら釣書ばかり送ってきた」
確かに、千代夫人からお嬢さんの写真と夫人と伯爵の長女を推す手紙つきで届いたな。父上が全て焼いていたが……
「彼女の写真を見て、揺るいだりはしなかったんですか?」
「しなかった、とても下品な印象しかない」
「彼女と……お会いしたことがあったんですか?」
恐る恐る俺の表情を見ながら美織さんは問う。
「ないよ、だけど写真だけでそういうのってわかるでしょう?」
そう俺が返せば彼女は何かを思い出しながら「そうですね」と言い考え込み始めてしまった。そんな姿も可愛い……
「彼女、清子様はあまりお作法のお稽古を好まなかったのでそういうのは欠けてるんじゃないかと……千代様は自由に伸び伸びと育ってほしいと言っていました」
「のびのびと、ね」
本当に貴族社会のことわかってないんだな。貴族の令息、令嬢で生まれたからには礼儀作法ができて当たり前でのびのびとなんてあり得ない。美織さんも女子のこなら、家を出るまでは外の世界から遮断され、蝶よ花よと育てられる。
「はい。それに私が幼い頃に教えていただいた家庭教師の方もつけてもらっていたんですが、千代様が解雇してしまってお作法を教えてくださる方がいなかったことも原因かと」
「それは聞いているよ。その人は、子爵夫人だからね」
「ですよね」
「……まぁ、この話はまた家でしようか。紅茶も冷めてしまったね」
そう言うと彼女は「はい、でもおいしいです」と呟いて微笑むとティーカップを持ち上げて一口飲んでいた。そんな動作すらも綺麗で可愛かった。
「宗一郎様、このあいす、おいしいです」
「だろう? 私は甘味が好きなのだが、ここのあいすくりーむが一番好きだ」
屋敷を出てかふぇーにやってきた俺と美織さんはここで一番好きなあいすくりーむを食している。
目の前には幸せそうに笑い食べている彼女がいる。本当に彼女と……やっとだ。やっと迎えられたんだと実感する。俺が彼女と出会ったのは彼女が五歳の時だ。俺と彼女は生まれた時から許婚だと決まっていたようなものだった。父上と伯爵当主は学友で子供がそれぞれ男の子か女子のこが生まれたら許婚にしようと約束をしていたそうだ。運良く、公爵家には俺が生まれ伯爵家には美織さんが生まれた。最初は、まぁよくある政略結婚だと思っていた。だけど、五歳になった時初めて彼女を見て胸が苦しくなった。彼女が愛おしくて、将来のお嫁さんだと思ったらにやけてしまったのを思い出す。
本当に、可愛らしかった。今も可愛いのだけど……
「……可愛いな」
「へっ?」
「美織さんは可愛らしい。とても……」
「あの、宗一郎様」
可愛い唇が俺の名前を呼んでくれるなんて……あぁ、幸せだ。
「なんだい? 美織さん」
「ここで聞くべきかわからないんですけど、」
美織さんは、ボツボツと俺を見ながら不安そうに言葉を出す。
「あの、義母の長女である清子様と婚約が決まったと義母から聞いたのですが」
あぁ、それか……
「そんな話もあった。だが、即お断りした」
「……え? そんな、だって私……宗一郎様との婚約が清子様になったって聞いたから」
「俺は、美織様しか受け入れませんと伝えた。そしたら釣書ばかり送ってきた」
確かに、千代夫人からお嬢さんの写真と夫人と伯爵の長女を推す手紙つきで届いたな。父上が全て焼いていたが……
「彼女の写真を見て、揺るいだりはしなかったんですか?」
「しなかった、とても下品な印象しかない」
「彼女と……お会いしたことがあったんですか?」
恐る恐る俺の表情を見ながら美織さんは問う。
「ないよ、だけど写真だけでそういうのってわかるでしょう?」
そう俺が返せば彼女は何かを思い出しながら「そうですね」と言い考え込み始めてしまった。そんな姿も可愛い……
「彼女、清子様はあまりお作法のお稽古を好まなかったのでそういうのは欠けてるんじゃないかと……千代様は自由に伸び伸びと育ってほしいと言っていました」
「のびのびと、ね」
本当に貴族社会のことわかってないんだな。貴族の令息、令嬢で生まれたからには礼儀作法ができて当たり前でのびのびとなんてあり得ない。美織さんも女子のこなら、家を出るまでは外の世界から遮断され、蝶よ花よと育てられる。
「はい。それに私が幼い頃に教えていただいた家庭教師の方もつけてもらっていたんですが、千代様が解雇してしまってお作法を教えてくださる方がいなかったことも原因かと」
「それは聞いているよ。その人は、子爵夫人だからね」
「ですよね」
「……まぁ、この話はまた家でしようか。紅茶も冷めてしまったね」
そう言うと彼女は「はい、でもおいしいです」と呟いて微笑むとティーカップを持ち上げて一口飲んでいた。そんな動作すらも綺麗で可愛かった。