元許婚に恋をする。
花野院家の花嫁
花野院家の花嫁
「――美織様、お綺麗です」
桜が舞う四月のよく晴れた日。
「ありがとう、ふゆ、フミ」
私は、白い掛下に白い掛下を羽織り、帯や小物も白に統一された『白無垢』姿だ。髪は文金高島田に結い上げ、綿帽子をつけ唇には紅を付けてもらう。
「綺麗すぎて、若旦那様倒れちゃうんじゃないですか?」
「そんなことないんじゃないかしら……ふふっ」
「美織様、若様の美織様への愛は異常なほどですからね」
フミは「ふふっ」と笑って見せた。お互い笑い合っていると式の時間が来て巫女が迎えに来た。
神主や巫女が先導して歩く参進の儀。いわゆる花嫁行列で宗一郎さんと対面する。
「……綺麗だ、美織」
合流してすぐに褒められて体の熱が上昇するのがわかる。何度、褒められてもう慣れない。
それから式は順調に進んでいって玉串奉奠まで終わった。ここまでくればあとはすることがないだろうとホッとしていると、斎主さまより「指輪の交換を致します」と告げられる。
指輪の交換……?何それ?と頭の中はハテナでいっぱいになる。参列者も同じだったようで、ざわつき始めた。
「異国の文化でね、指輪は夫婦の結びつきを意味するものらしいんだ。お互いに指輪を交換することで、永遠の愛を誓い合うという事から成り立っているといわれている」
「そ、そうなんですね」
できれば事前に知りたかった……そんなことするとは思わなかったから緊張してしまう。
「あぁ……美織、私は君が好きだ。ずっと好きだった。会えない期間は苦しく辛かったが忘れたことは一度もない。僕の花嫁は君だけだ。だから永遠に愛すると誓うよ……この先ずっと僕の命が尽きるまで」
「……ありがとうございますっ、宗一郎さん。私も、あなたのことを愛しています」
私たちは、指輪の交換をすると今までお世話になった参列者の方から拍手が起こりそちらを見ると笑顔溢れている。
私の左手の薬指にはさっきまでなかった指輪がキラキラと輝いており、とても幸せを感じた。
「幸せだなぁ……」
ふとつぶやくと、宗一郎さんはこちらを見て言った。
「なるんだよ。僕たちは、これから一等に幸せな夫婦にね」
「そうですね、宗一郎さん」
私は、宗一郎さんと出会えて幸せだ。
だれかに好いてもらえるなんて当たり前じゃない奇跡のようなものだ。そんな奇跡をこれからも続いて欲しいから私はずっと彼に伝えていこう。
「……愛しています。ずっとずっと、そばにいさせてくださいませ」
「当たり前だ、俺も愛している」
彼はそう呟いて、皆に見られないように私にキスを落とした。
終
「――美織様、お綺麗です」
桜が舞う四月のよく晴れた日。
「ありがとう、ふゆ、フミ」
私は、白い掛下に白い掛下を羽織り、帯や小物も白に統一された『白無垢』姿だ。髪は文金高島田に結い上げ、綿帽子をつけ唇には紅を付けてもらう。
「綺麗すぎて、若旦那様倒れちゃうんじゃないですか?」
「そんなことないんじゃないかしら……ふふっ」
「美織様、若様の美織様への愛は異常なほどですからね」
フミは「ふふっ」と笑って見せた。お互い笑い合っていると式の時間が来て巫女が迎えに来た。
神主や巫女が先導して歩く参進の儀。いわゆる花嫁行列で宗一郎さんと対面する。
「……綺麗だ、美織」
合流してすぐに褒められて体の熱が上昇するのがわかる。何度、褒められてもう慣れない。
それから式は順調に進んでいって玉串奉奠まで終わった。ここまでくればあとはすることがないだろうとホッとしていると、斎主さまより「指輪の交換を致します」と告げられる。
指輪の交換……?何それ?と頭の中はハテナでいっぱいになる。参列者も同じだったようで、ざわつき始めた。
「異国の文化でね、指輪は夫婦の結びつきを意味するものらしいんだ。お互いに指輪を交換することで、永遠の愛を誓い合うという事から成り立っているといわれている」
「そ、そうなんですね」
できれば事前に知りたかった……そんなことするとは思わなかったから緊張してしまう。
「あぁ……美織、私は君が好きだ。ずっと好きだった。会えない期間は苦しく辛かったが忘れたことは一度もない。僕の花嫁は君だけだ。だから永遠に愛すると誓うよ……この先ずっと僕の命が尽きるまで」
「……ありがとうございますっ、宗一郎さん。私も、あなたのことを愛しています」
私たちは、指輪の交換をすると今までお世話になった参列者の方から拍手が起こりそちらを見ると笑顔溢れている。
私の左手の薬指にはさっきまでなかった指輪がキラキラと輝いており、とても幸せを感じた。
「幸せだなぁ……」
ふとつぶやくと、宗一郎さんはこちらを見て言った。
「なるんだよ。僕たちは、これから一等に幸せな夫婦にね」
「そうですね、宗一郎さん」
私は、宗一郎さんと出会えて幸せだ。
だれかに好いてもらえるなんて当たり前じゃない奇跡のようなものだ。そんな奇跡をこれからも続いて欲しいから私はずっと彼に伝えていこう。
「……愛しています。ずっとずっと、そばにいさせてくださいませ」
「当たり前だ、俺も愛している」
彼はそう呟いて、皆に見られないように私にキスを落とした。
終