僕らは今日死んだので、これから先は天国です
病状が悪化してから、生きていて楽しくなかった。

怖がりの僕には、この病気はあまりに脅威だった。

先月、余命を宣告され、初めて人生に諦めがついた。

もう怖がったまま人生を歩んで、楽しくない日々で人生を埋めてしまうくらいなら……「死んでしまおう」、と。

死を怖がって、死ぬなんてあまりに矛盾していることは分かっている。

それでも、人生で楽しくない日々は少しでも少ない方がいいだろう?

言い訳も十分した。

もう心残りはない。

目を瞑り、心の中でカウントダウンを始める。


「5……4……3……」


2になる直前、後ろから誰かに抱きつかれた。
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