久我くん、聞いてないんですけど?!
「いいなー、蒼井さん。あんなイケメンと一緒に仕事できるなんて」

狭い休憩室に向かい合って座ると、店長はいじけたように言う。

そんなにイケメンなのか?久我くんって。

「松浦さんの旦那様もイケメンだって、アルバイトの子達から聞きましたよ」

「えー?毎日会ってると、まったくそう思えなくなった。俗に言う、美人は3日で飽きてブスは3日で慣れるってやつね」

それなら、イケメンは3日で飽きて、キモメンは3日で慣れるのだろうか。

「じゃあ、結婚相手は誰でも一緒ってことかな…」

ポツリと呟くと、店長が身を乗り出してくる。

「え、蒼井さん、結婚するの?」

「うーん、考え中なんです」

「そうなんだ!相手はどんな人?」

「思い出したくない人です」

…は?と店長は目を点にする。

「さ、それより仕事の話!松浦さん、新商品について相談してもいいですか?」

私はバッグから資料を取り出して、話を進めた。
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