久我くん、聞いてないんですけど?!
久我くん、聞いてないんですけどー?!
「えー?!どどど、どういうことですかー?!」

美鈴ちゃんが、卒倒しそうなくらい仰け反って驚いている。

「華さんが結婚?!しかも、久我くんと?!いつの間に?聞いてないんですけどー!」

「うん、ごめん。こんなはずじゃなかったんだけど…」

「何がどうなって、そうなったんですか?」

「それが、その。かくかくしかじかで、としか…」

「そんなので分かる訳ないですよ!」

…だよね。

「でもまあ、久我くんが華さんを好きなのは知ってましたからね。がんばってアタックしたんですねー、久我くん」

「えっ、そうなの?美鈴ちゃん、知ってたの?」

「あんなになついてたら分かりますよ。前にも話したでしょ?久我くん、華さんしか見てないし、華さんに褒めてもらいたくて仕事もがんばってるって。好きだからこそ、ですよ」

そうなんだ。
私って、ちゃんと愛されてたんだなあ。

そう思うと、なぜだか胸の奥がツンとした。

父さんの為にお見合い結婚を受け入れようとしていた私。

平気だと思ってたけど、やっぱり無理してたんだろうな。

だって今、久我くんと結婚することになって、ものすごく幸せを感じるから。

「やだ!華さんが乙女の顔してる!かーわいい。恋の力って偉大だわ」

美鈴ちゃん、ほんとだね。
久我くんって偉大だね。

私は込み上げてくる涙をこらえながら、美鈴ちゃんに笑って頷いた。
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