たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「そんなことはない。エヴァちゃんはきっと誰のことでも救えるよ。その人の事も少なからず救っていたはずじゃ。けれどもし,エヴァちゃんの言葉や行動,心があと1歩足りなかったのだとしたら」
次の言葉が怖くって,私は自分のコップを両手でぎゅっと包む。
「それはエヴァちゃんのせいではない」
「……え」
予想しなかった言葉に,私は息を止めた。
「その人には既に,待っている人がエヴァちゃんの他にいるのかもしれない。目の前にいたらと望む人が,どこかで生活しているのかもしれない。そうは,思わないかね?」
私だからだめなんじゃない。
私ではだめなんだと。
レナルドおじさんは自分の見解を慰めるように話した。
だけど……
(それじゃあ,エルさんを助けてくれるのはだれなんだろう)
不安がじわりと真似に溢れて,私は泣きたくなる。
私に出来ることがあるなら,どうにだってなるのに。