たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
教会に戻ると,丁度扉を出ようとしている人が見えた。
上着を羽織る彼を正面から捉えて,私は声をかける。
「どこに行くの? ダニー」
「エヴィー」
見開いて顔を向けたダニ-に,私からもきょとんと返した。
「エヴィーは? この後も何か予定あるのか?」
「レナルドおじさんの所に行ってたの。この後は魔法の復習と,何か魔法の花火みたいな皆を楽しませられる発明が出来ないかなって」
「それ,夜付き合うから。今から出掛けるのはどうだ? 実はエヴィーを探しに行くところだったんだ」
(それって)
「デート?」
「そう」
端的にツンと返された声に,わっと喜ぶ。
(照れ屋なと頃はいつまで経っても変わらない)
くすくすと笑って,私はダニーの手を引きながら180度体を回転させた。