たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
(へへへ)
そっか,そうだったよね。
「ダニーも格好いいよ」
嬉しいの変わりにそう返す。
「そう言えば今日はどこにいくの? 本屋さん? 雑貨屋さん? レナルドおじさんのお店はちょっと恥ずかしいな」
「はは。エヴィーは? どこ行きたい? 今日はまだ決めてないんだ」
「そっか……。なら,焦ることもないし,歩きながら決めよう」
繋いだ手を,少し大きく振ってみた。
それだけでなんでか楽しくなっちゃって,2人で並んで歩く嬉しさで胸が一杯になる。
青くて,点々と白い雲の浮かぶ空。
澄んだ空気も何もかも,私の味方みたいですきだった。
歩き慣れた道,見慣れた街並み。
皆皆幸せで,この街が大好きだと思う。
街の皆が,お義父さんが,私をこの街の住民にしてくれた。