たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
自分で言おうと思ったのに,ダニーが一息に全て注文した。
何故だろうと見上げると,おばさんもからからと笑って。
「なんだい。今日はダニエルの奢りかい?」
「まぁな。そんな感じです。はいお代」
「はいはい丁度ね。毎度あり。ちょっとまってな」
私はえっと声をあげる。
「どうしてダニー。いいよそんなの」
(食べたいって言ったのは私なのに)
クレープはそんなに安いデザートじゃない。
だから私は断ろうとしたのに
「おやおや。ここで断っちゃダニエルの顔がないよ。厚意は素直に受け取っときな。エヴィーちゃんの事が大好きなんだろう」
「そうゆうことだエヴィー。食べたかったんだろ? たまにはこういうのもいい」
2人にそう言われてしまって,私はこくんと頷いた。
何故か少し,照れる。
(今度お返ししよう)
今そう言ったら,ダニーはいいと言いそうだけど。
おばさんが,薄い皮にホイップやフルーツ,ソースを乗せる。
仕上げにくるくると纏めると,2つのクレープが完成した。