たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「それ,気に入られたんですか?」
後ろから,優しくて若い,入店した時に聞いた声と同じものがした。
驚いて振り向くと,ダニーの後ろに店員さんが立っている。
「あ……はい。とても可愛くて」
子供みたいに夢中になっていた自分が,少しだけ恥ずかしい。
見ると,優しげな表情を浮かべた店員さんが微笑んでいた。
「それ,私が作ったんです。売り物ではないんですけど,折角なのでお1ついかがですか? どの子でも差し上げます」
店員さんは,どこか嬉しそうに笑う。
「えっ?! で,でも……売り物じゃないんですよね……」
申し訳なくて,私は反射的に小さくなってしまった。
申し出はとても魅力的で,声が萎む。
そんな私の反応も心得たように,店員さんは可愛く並ぶぬいぐるみたちの脇に手を入れて,3匹同時に私の前に掲げた。