たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~


「あら,エヴィー? 何をしてるの? ……もしかして,また読んでるの? 王様に貰った昔の絵本でしょうそれ」

「……ベッキー。うん,そう。魔女についてかかれてる絵本」



王様の依頼と共に渡された1冊の絵本。

部屋で読んでいると,やって来たベッキーが私に声をかけた。

その絵本はすこし古びていて,イラストがくすんでいる。



「ベッキーはどう思う? この物語」

「そうねぇ,特に何も。人々を脅かす悪い魔女が,勇敢な兵士に倒される話でしょう? 悪いことをしたら罰が下る,子供を脅かすための知育本ね」



(そう,だと思うんだけど)



「でも,この"魔女"を討伐するのが私達の仕事でしょう?」

「…何か気になることでもあるの? 確かに魔女が本当に存在して,その残党狩りなんて嫌な仕事を押し付けられて,気が滅入るのも分かるけど」

「うん……だって,どうして私達は魔女を倒さなくちゃいけないのかなって」

「どうしてって……」

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