たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「って,なんかしんみりさせちゃったね。ごめん皆,何でもないの。結局はただの絵本だもんね!」
何度目かの,矛盾。
皆に言い返した言葉をひしひしと感じながら,私は絵本と距離を置く。
「エヴィー。俺達は何も言ってないだろ。それに納得できないなら,魔女と会ってから決めたらいい。少なくとも,魔女は人間の言葉が分かるんだから」
(そっか)
その手があった。
私はダニーに笑顔を向ける。
「そうだね! そうしよう!! 良かった,それなら迷う必要ないもんね。子供達のところ,行こっか。ベッキーもいいでしょ?」
私の言葉に,他の2人が肩を落とした。
「まったく。エヴィーはそれくらい元気な方が丁度いいよ。僕達は部屋の外に出てるから,ゆっくり準備しておいで」
「そうね,同感だわ。私はエヴィーとまったりしようと思ってたのに」
「えっそうなの?」
「冗談よ。暇だっただけ」
私の言葉に皆が笑って,私は魔法を教える子供達の元に行く準備を始めた。