たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「魔法の練習は順調かい? エヴィー。君のパーティの子達とも,喧嘩したりしていない? 剣士の彼や魔法使いの彼女,それから両方腕の立つ優秀な彼は,皆優しくしてくれる?」
お義父様は昔から,私にとても過保護で。
いつまで経っても変わらない愛情は,私を寂しくさせたことなど1度もない。
「どうしたの? いつになく過保護じゃない? 全部心配いらないよ。私は大丈夫。お義父様こそ,教会にはまだ嫌な人もいるって。仕事しすぎたりしていない?」
「はは。私も大丈夫。彼らももう,悪いことなど出来ないだろう」
はぁと,どこか寂しげに。
お義父様は何かを懐かしむように息をはいた。
地面に落ちた吐息を拾って,お義父様を見る。
「どうしたの? 何かあった? やっぱり変よお義父様」
愛おしそうに,お義父様は私を見かえした。
「大丈夫,エヴィー。心配いらないよ」
小さな頃のように,お義父様が私の頭を撫でる。
「そう?」
小さな不安に蓋をして,私は微笑みを落とした。