たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「悪い。俺で最後か? 剣の最終確認で遅くなった」
「折れたら危ないもの,それくらい慎重になるのはいいことだと思う。それに私達も今揃ったところだよ」
最後にダニーが揃って,私達は勇者一行と言うことになる。
自ずと皆が静かになって,それを打ち破るのは勇敢なベッキー。
「……じゃあ,行きましょうか」
こくんと頷いて,私達は歩きだした。
遠足にでも行くような軽い足取りで歩き,ベッキーとノアが軽口を叩き合う。
いつもの私達って言う感じで,明るいけれど。
(皆,緊張してる。そうだよね……こんな経験,皆が皆するようなものじゃない)
意識された日常に,肌がぴりぴりした。
慣れた道,舗装された綺麗な道。
ずっとこんなところを通っていたい。
私も時折会話に混じって,そのうち緊張はほどけてくる。
時期に,立ち入り禁止の看板が見えた。
皆はそれを当たり前のように無視して,看板を避けるように森へ立ち入る。