たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「エヴィー。君は大丈夫? 歩くの早かったら言ってよ,足場の悪いところはダニーに掴まってればいいから」
「うん。大丈夫だよ。ノア達も,私に気を使わずにもっと早めてもいいからね」
「……それは無理かな。立ち入り禁止も効いてて慣れてないし。ゆっくり行こう」
(そっか)
てっきり気を使われているのかと思っていた。
自分でボロを出しそうになったことに気がついて,私は曖昧に返す。
「すごいな,エヴィー。剣で多少鍛えてるとは言え,地元みたいに」
同じ国のなかで地元と言う表現をするダニーは,当たらずとも遠からず。
(早朝から毎日通ってたなんて言えないな)