たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「ねぇ,魔女ってどの辺にいるのかな。皆は王様が何て言ってたか覚えてるんだよね? 知らない国で直ぐに見つかるといいんだけど」
依頼を受けたとき,私も一緒にきいていたはずなんだけど。
その時は現実味がなくて適当に聞いていたせいで,何を言われたのか実は覚えていなかったりする。
だけど皆は迷わず進んでいるから,ちゃんと覚えていたんだろうなぁと。
私はぼんやり,森の木に揺れる葉っぱを眺めた。
(そもそも私達,他国で暴れちゃっていいのかな。向こうの人に怒られない? びっくりさせちゃうのは嫌なんだけど)
「は?」
「えっ?」
ノアが信じられないものでも見るかの様に振り返る。
良く見渡せば,ベッキーもダニーも驚いた顔で足を止めていた。
「な,なに,皆」