たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「え嘘でしょエヴィー。流石に冗談だよね? 今日はエイプリルフールじゃないよ? まさかさっきのも」
「……はあ。全員,一旦足を止めましょう。このままじゃだめだわ。エヴィー,あなたまるであの絵本で救出された男の人みたい」
何故か怒られる勢いで呆れられる。
それもそのはず。
2人の呆れを引き継ぐように,ダニーは放った。
「魔女はこの森に一人で住んでる。推定20代で,学生のふりをして過ごしていたところ,正体がばれて以来森に逃げ住んでいるらしい」
「魔女はもう何人も国から派遣された人間を殺してる。僕らが相手をしようとしてる魔女は,本当に危ない存在なんだよ」
ノアのした説明はちゃんと覚えている。
だけど
「……え。魔女って,この森にいるの? 今歩いてる,この森に?」
「そうよ,だからこの森は立ち入り禁止になったの。街の皆を危険から守るために。まさか勇者のあなたが知らないなんて」
「驚きすぎて,魔女討伐の前に心臓が止まるかと思ったよ」