たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
(森の中は全てエルさんの庭のようなもの。誰かが立ち入れば,どうやってかエルさんの家に知らされるし,そんな存在をエルさんが放っておくはず無い)
「いい? もう分かったわね。目的地はもうそう遠くはないの。気を引き締めなさい」
一息ついて,ベッキーはまた歩きだした。
続いてノアやダニーが私を気にしながらもそれに従う。
「まっ……て」
待って。
私の言葉にまた皆が足を止めた。
ノアが眉を垂らして私を見る。
「残念だけど,あんまり時間がないんだ。ゆっくりでいいから少しずつでも進もう」
それでも動かない。
そんな私が皆を困らせると分かっていたけど,頭の中を整理するので精一杯。
「ごめん,ちょっとだけ」
(なんで?)