たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
違うって。
そうじゃないって。
そして私は任務を終えて,エルさんにいつかきっとまた会いに行って,ごめんねって。
ただ一言,疑ったことを謝ればいい。
そうして歩きだしたことを。
自分の感情を優先したことを。
私はすぐに後悔することになる。
師匠の静まった家が視界に映ったとき,もうそれはとっくの昔に十分だった。
寧ろ遅いくらいで,鼻がつんと鳴る。
「帰ろう,皆」
すたすたと先頭に立ち,立ち止まって皆を振り返った。
緊張感を漂わせていた皆が,小声で戸惑いを表す。
「お願い。今すぐ,帰ろう」