たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「「エ」」
咄嗟に私の名前を呼ぼうとしたノアとダニーの口に,コロンと荒く氷を発現させた。
(2人とも,ごめん!)
今呼ばれるのは,困る。
戸惑いに硬直するベッキーを背に隠すため,私は敢えて大きく一歩前に出た。
(撤退,撤退……っ。どうすれば)
ベッキーに片手で後ろを指示する。
早くと望んでる間にも,また新しく魔力の揺らぎを感じた。
来ると感じた時にはもう目の前で,さっきとは違う,3つの氷を耐える。
それだけで私はもう,精一杯だ。
(お願い。私に気づいてっ……攻撃をやめて,エルさん……!)