たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「戻れ! これじゃあ僕たちはお荷物にしかならない……!」
「でもエヴィーは」
「馬鹿! 生かすために僕たちが逃げるんだろうがっ!! 死ぬぞ僕たち! 君は前を走れ。僕が後ろを守る!」
(ありがとうノア。ごめん)
剣だけじゃなく魔法も使えるノアが,いち早く私の意思を汲む。
また魔法が飛んできて,それらはどんどん速度や数をあげていた。
まだこちらの様子を見ているだけ。
まだまだ全然手加減をされているだけ1番ましな方。
それが分かるのもまた,実力を知る弟子だから。
魔法を放つ方が何百倍も楽チンだ。
好きなところに好きなように放てばいい。
でも,受け止める側は違う。
どこに来るかも分からない。
何が来るかも分からない。
目視してからでは遅いから,感覚で自分を守るしかない。
エルさんの魔法が,氷から何か固い別のものに変わって,等身以上の盾が砕かれる。