たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「あっ……」
衝撃で,くらりと躓いた。
まずいと思った瞬間,隣に生える木々がボウッと朱く燃え始める。
砕け落ちていく盾の向こう側に,人影が見えた。
黒い,時々見ていたあの外套。
あぁと,ようやくエルさんの全てを理解する。
「"エヴィー"!!!」
後ろを気にしていたノアが真っ先に声をあげると同時,炎に照らされる私と目の合ったエルさんが呟いた。
「エ……ヴィー」
ーあなた,どうして。
驚愕に見開いた瞳が,半泣きの私を映している。
エルさんの利き腕にはクナイの様な即席の魔法が手にされていて,私の首もとすれすれで無理やり止められた。
ダニーが険しい顔で剣を抜き,ノアが鋭利で素早い魔法を放つ。
反応したエルさんがノアの魔法を弾き,反撃まで行った。
「なんだ,そういうこと」
馬鹿ね,と。
何かを嘲笑うように悲しく落とす。