たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
ダニーはあの時,直ぐとなりにいた。
だから私がエルさんに言葉を向けたことも,誰も知らないはずの名前を呼んだことも,全て聞かれている。
ふるふると首を振って,ごめんなさいと言った。
「今は,ちょっと……」
それぞれ身なりを整えて,それからにしようと。
数時間後の夜明けにまた会おうと告げて,私は自室に戻る。
熱いシャワーを浴びながら,生きていることを実感した。
同時に足元で起こった爆発や,ボロボロの靴下を思い出して目を伏せた。