たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「つまり,あの人がエヴィーに魔法を教えていた師匠ってこと? ずっと一緒にいたんでしょう?」
ベッキーが言いづらそうに纏める。
思わず,私は気付かなかった不甲斐なさに項垂れた。
「でも困ったな。問答無用で攻撃されるんじゃどうにもならない。……エヴィーにまで……命懸けで話しあいに行くのはリスキーすぎる。僕たちじゃ対抗できそうにない。防いで去るので精一杯だ。実力に差がありすぎる」
所詮,まだ私達の魔法は模造にすぎないのだと……
皆してうつ向く。
「唯一対抗できそうなのはエヴィーだけど」
私はぱっと顔をあげてノアを見た。
「無理よ。エルさんの強さは誰よりも知ってるつもり。何もかも,時間以外で埋められない実力差があるの」
分かってると言うように,ノアは困った顔で肩をすくめる。