たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~

それは森全体に張り巡らせている私の仕掛けが,森の侵入者を知らせる音。

近い場所であればある程金属のかなきり音が知らせるようになっている。

つまりカスった様な音しかしなかった今は,まだ入口付近でしかないと言うことになるのだ。

敵なら待っていればやって来るし,動物や迷子の子供の間違いなら何事もなく1日が終わる。

ただそれだけだ。

自宅に戻る。

珈琲を淹れて待っていると,音は少しずつ大きくなっていた。

ほぼ全てに反応が来ると言うことは,恐らく仕掛けの存在には気付いておらず,その上何も気にせず歩いていると言うことになる。



(新人の暗殺者でもこうはならないわ。新手の傭兵? 盗賊? それとも逃げ込んできた指名手配犯かしら)



けれど速度的に真っ直ぐこちらへ近付いている以上,気を抜くことは出来なかった。



(来た)

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