たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
(でも,もう一度行かなきゃ。誤解されたままなんて嫌。それに私が逃げたら,また他の誰かがエルさんを殺そうとして,殺される)
ごくりと飲み込んだ。
集まったのは訓練場。
的に集中して,威力と速度を最大限,素早く発現させた小さな魔法を飛ばす。
正確にど真ん中で砕けるも,こんな魔法に意味なんてない。
「あなた達でも失敗でしたか。まぁ,生還したのはあなた達で初めてです。お疲れですな」
品定めでもするかのように,またあの嫌な人がやってくる。
きっと睨み付けると,目を細めて返してきた。
「アリエル·アーシア。彼女は天才です。どうですか,今だ若く美しい人間だったでしょう。彼女は他の人間とは一線を画している。単に魔力が強いだけではない。我々とは"ここ"が違う」
「エ……」
珍しく,自我を持って饒舌に話す。
その話を聞いて,私は喉まででかかった名前を何とか飲み込んだ。