たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「あなたは,最初から魔女がただの人間であることを知っていたのね」
「ええもちろん。何せ彼女の評判は上級生にまで轟いていましたから。あの力は単なる研究結果です。
そして突然姿を消した理由も,この地位まで上り詰めればころりと判明しました」
(知っていたのに,私達をけしかけたの)
怒りと悲しみで,整理しきれない感情が拳にこもる。
私は,目の前の人のようには割りきれない。
「彼女はありとあらゆる力を持ちすぎた。そして王の戯れにも,倍のプレゼントで返してしまった。力とは,権力であり,権威です。彼女は決して,王室を越えてはいけなかった」
「なぜもっと,もっと早くに教えてくれなかったの。どうしてあなたは,王に加担するの。どうしてそんなに,何でもないみたいに話せるの!」
立ち上がって顔を向けることすら出来ない。
吐き捨てるように尋ねると,答えは簡単に返ってきた。