たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~


「僕らは偶然,魔女と呼ばれるあの人の研究技術を一部持っている」

「ほお」



目を細めるばかりだったのに,初めて目を見開く。

証拠と言わんばかりに,ノアは魔法発現を相手に分かりやすくするためか,右手を目の前にかざして見せた。

途端に離れていても分かる刺激臭がする。

鼻先で行われた行為に,相手は鼻を押さえてよろけた。



「よく見てろ」



ノアはそう冷たく言い放ち,ぼうと火を付ける。

ようやく目に見えたノアの魔法は,色づいて燃えていた。



「これが城や国を襲うとは思わないのか?」

「……なるほど,ハッタリではなさそうだ。ですがそれもあまり意味がないでしょう。司祭の隣には,何かあればと申し付けられた人間が四十配置されていますし」



ー城には"あの方"もいらっしゃいます。


ぼそりとした呟きを,私達は聞き逃さなかった。

ノアから1歩引いて,襟を直す仕草が目に入る。

あれは
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