たった独りの物語~私を殺そうとしている女の子を自分の手で育ててしまいました~
「では。私はお伝えにきただけですので。王室には行動でお返事差し上げたらよいでしょう」
(帰ろうとする合図)
「まだ話は!」
「終わりました」
それだけ私に目を流すと,本当に出ていってしまった。
「あっ……エヴィー!!!」
慌てて教会に戻る。
お義父様の部屋に向かっても,ドアの向こうからは物音1つしない。
ひんやりとしたドアの向こうには,人の存在感など少しもなくて。
きいと開けると,そこは電気も消された静かな空間だった。
「お義父,様」
お義父様に用意されたこの小部屋は,仕事場とも言える。
誰かに用事があったり,休日でもない限り必ずここに座っているはずなのに。